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2016-11-13

象の小規模なラジオ#451 2016.11.12

sassya-『non communication』特集

出演:成川勇也、やなはる、ジンボユウキ
ゲスト: sassya-
※写真左から、Yoshiharaさん(Dr.)、Megumiさん(Ba.)、Iwakamiさん(Vo./Gt.)

今週は10月12日に1stアルバム「non communication」をリリースした3ピースのオルタナティブロックバンド、sassya-(サッシャー)の皆さんにお越しいただきました!

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先月22日放送の選曲回にてアルバムからの楽曲を流したところ、ギターボーカルの岩上さんから即TwitterのDMをいただき、ぜひにということでゲスト出演と相成りました。
少なくともネット上で読めるインタビューはまだ無いようですし、メンバーのパーソナリティ、そしてプロフィールの「ホームレス、引きこもり、お嬢様による硬質トリオ」とは一体どういうことなのか(笑)にも迫った貴重な内容になったかと思います。

sassya-の話に入る前に、少しだけ私ジンボの自分語りをさせてください。
ナンバーガール「透明少女」のMVに「ギターによる焦燥音楽 それすなわちROCK」というフレーズが一瞬出てくるんですが、彼らの音楽に初めて出会った15歳の冬から30歳になる今までずっと、そうした類のオルタナティブロックが何よりも大好きで聴き続けています。ギターをジャキジャキ弾き倒し、ベースがブンブン唸り、ドラムがバカスカ叩く、疾走感よりも性急さが感じられる、そんなうるさい音楽。

とか書きながらですね、この数年「ロックは10代から20代にかけて散々聴いてきたし、これからはブラックミュージックとかブラジル音楽とか、もうちょっと他のジャンルを色々聴こうかな」という感じでかなり離れ気味だったんですが、お世辞でなくsassya-を聴いてロックに引き戻されました。自分がまったくチェックしていなかった(広義の)ハードコア寄りのシーンで、90年代のオルタナやポストハードコア、エモに影響を受けたとおぼしきバンドがどうも最近増えてきているようです。

ぼくのような欧米のインディロックないし東京インディ周辺を中心に聴いてきた身としては、NOT WONKやSUMMERMANなどのKiliKiliVillaがレペゼンする新世代パンク勢、Klan Aileenやburghなどが収録された今年リリースの名ポストパンクコンピ『PROVOKE』(THE NOVEMBERSによるフックアップもありました)などの話題は伝わってくるものの、sasssya-がいるような広義のハードコア寄りのシーンの話って、ぼくが読んでるメディア経由だとほとんど入ってこないんですよね。
とはいえ、東京のtoosmellrecords、大阪のFlake records、名古屋のFILE-UNDER RECORDSといった、シーンとシーンの間を飛び越えまくってくれる独立系レコ屋(象ラジ出演アーティストも同様にプッシュされまくっています)の新入荷情報を漏らさずチェックしているとかなり違うんですが。
(この辺は、自分にとってはですがメタルやポップパンク、メロコアがあまり得意ではない=ハードコアと評されるバンドで自分の耳に入るのがDISCHORD、Touch and Goなんかのポストハードコア~エモ・ポストロックまわり以外はそういう感じだったこともあり、積極的にチェックしてこなかったことにも起因してる気もします。反省!この辺が得意でないと、もはやハードコア聞くなという感じかもしれませんがDCハードコアは好きです)

でもここで挙げたようなバンドが好きな人は掘らないとマジで勿体無いです。断言します。
これらに加えて近年の海外バンドではMETZやCloud Nothings、あるいはGirl Band、Holy Fuckなんかも含めていいかもしれませんが、爆裂ノイジーなオルタナバンド、日本にもめちゃくちゃ居ました。まずはですね、200~500人ぐらいのキャパで来日する海外オルタナバンドのライヴに行ったりする層の人に聴いてみてほしいです。CD版でも1500円。Bandcampの配信なら1000円です。安い!

とまぁ長々書いてしまいましたが、ようやくsassya-の話を始めます。
sassya-の魅力はまずもってその直情性。上で書いた「ギターをジャキジャキ弾き倒し、ベースがブンブン唸り、ドラムがバカスカ叩く、疾走感よりも性急さが感じられる、そんなうるさい音楽」がまさに当てはまります。岩上さんが悶々と音楽を爆音で聴くだけの日々を過ごしていたところ、たまたま観たイースタン・ユースとGOUPIL AND Cのライヴに触発されてバンドを始めたというエピソードがとんでもなくグッときます。

そして楽曲では、SHELLACのようなギターがジャキジャキしながらもベース込みでしっかり重低音も効かせたサウンドが基本にありつつ、曲の中盤にはしっかりFUGAZIのような「これぞハードコア」っていう爆発&疾走部分があり、かつ場合によってはSonic Youthを感じる90年代USオルタナっぽいアルペジオの間奏があり、とすごく良い意味での「いいところ取り」が上手い。
この辺は90年代渋谷系の引用・サンプリング感覚、あるいはグランジ、シューゲイザーなどのロック史の大きな潮流のなかでの「最新の海外バンドとの共鳴」とはまた違った、いま・むかしがシームレスかつ、和洋折衷で過不足なく取り込むバランス感覚、これをまぁ「全ての情報がフラットになったインターネット、YouTube以降の~」とか今テキトーなこと書いてますが、sassya-に限らずそんな感じのバンドが2010年代の日本では増えている気がしてます。

加えて重要なのは「歌詞がしっかりと耳に入ってくる」ということです。岩上さんが常にシャウトしまくっているというのもあるんですが、シンプルかつ鋭利なフレーズを短く繰り返すことで、歌・歌詞もがリフの一部のように聴こえてきます。

例えばアルバム2曲目「Flower Box」の冒頭部分は

どうにかなっちまえ
どうにかなっちまえ
どうにかなっちまえ
どうにかなっちまえ

クラクラ 頭蓋骨
揺れる 割れる
フラフラ 足が痛い
嘘で笑っている

という感じなんですが、「どうにか!!!なっちまえ!!!どうにか!!!なっちまえ!!!」なんてフレーズをライヴで合唱したらそりゃあもう気持ち良いに決まってます。
ちなみに一番好きなフレーズは2ndEP『Last Order』に収録の「100」という曲の冒頭、「先方がおっしゃる通り/昨日と同じなのです」という部分です。何も変わらぬ日々なのに、それを先方=あいつに指摘されてしまっているというやるせなさよ!

まだライヴは観ることができていないので、近々遊びに行きたいと思っていますが、ぼくの勝手な使命感によって、もう少しこのシーンについて勉強すると同時に、少しでも多くのナイスなバンドを紹介していきたいとおもっています。

あんまりこっち方面に偏りすぎて「象の小規模なオルタナラジオ」になってしまうとそれはそれで困るのですが(笑)、ゲストにお呼びしたいバンドがまだまだ沢山います。独りで黙々と掘ってるので「こういうバンドもどう?」というオススメがあれば皆さんぜひ教えてください!!!(ジンボ)

tumblr_inline_ogjg8upuoo1qzu4ep_500sassya-
1st Full Album“non communication”
2016/10/12 Release
CD:¥1,500 (tax excluded) DL:¥1,000

【収録曲】
1. omit
2. Flower Box
3. Law
4. 街
5. N
6. Waltz
7. 暴
8. gin
9. CUT OFF

【販売店舗・ディストロ】
diskunion
Flake Records
FILE-UNDER RECORDS
LIKE A FOOL RECORDS
sunday worst enemy
TOWER RECORDS (渋谷店・オンラインショップ)
3LA
amazon

【レコ発ライブ】
sassya-“non communication”Release Live Vol.2
2016/12/04(日) 西荻窪FLAT
Adv 1,500yen / Door 1,800yen
Open 17:00 / Start 17:30
sassya-
SUNDAY BLOODY SUNDAY
thepath
WOTZIT
one point four three

sassya- オフィシャルサイト

 

Onair Track List

  1. sassya- / omit
    『non communication』収録
  2. sassya- / Waltz
    『non communication』収録
  3. sassya- / 街 (City)
    『non communication』収録
  4. Detrytus / State Of The Masses ※sassya-のGt/Vo、Iwakamiさん選曲
    『The Sense Of Wonder』収録
  5. THE BLUE HEARTS / ラインを越えて ※sassya-のDr、Yoshiharaさん選曲
    『YOUNG AND PRETTY』収録
  6. 野口恵 / himekuri ※sassya-のBa、Megumiさん選曲
    『himekuri』収録
  7. eastern youth / Jet Man ※sassya-のGt/Vo、Iwakamiさん選曲
    『DON QUIJOTE』収録
  8. sassya- / CUT OFF
    『non communication』収録
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